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粟井小の『いとすぎ』

2023年1月2日 15時39分

明けましておめでとうございます。

御家族で穏やかなお正月をお迎えのことと思います。

今日は、花の水やりとうさぎの世話をするために学校に来ましたが、本当にしずか~でした。(当たり前ですが…)

うさぎのクルミとショコラも私が掃除する間、身を寄せ合っておとなしくしていました。

校舎の三階から西の方を眺めると遠くに瀬戸内海の美しい景色が、東の方を眺めると粟井の山里が見えます。

いつもの見慣れた景色ですが、この景色を見ていると心が癒されます。

「穏やかなお正月だな~」と一人思ってしまいました。

さて、話は変わりますが、運動場の南東の隅に「ソルフェリーノの丘のいとすぎ」と表示があり、隣に『いとすぎ』があるのをご存じでしょうか?

実はこの『いとすぎ』、令和3年11月26日、当時のボランティア委員会の子どもたちと植樹しました。

この『いとすぎ』についてすこし説明します。

今から164年前、1859年イタリアの「ソルフェリーノの丘」で「イタリア・フランス連合軍15万人」と「オーストリア軍17万人」が戦いました。

この戦いは実にむごたらしいもので、ソルフェリーノの丘には、両軍の亡くなった兵士が山となり、たくさんの傷ついた兵士がもがき苦しんでいました。

そこへたまたま仕事で通りかかったのが、スイス人のアンリーデュナンです。 

アンリーデュナンは、村の人と救助活動をしようとしますが、村人の中には、自分の国の兵士は助けても敵の国の兵士は助けようとしない人がいました。

そこで、アンリーデュナンは、「みんな同じ人間同士ではないか。傷つき、倒れ、戦えない兵士は、敵も味方もない同じ人間として助けよう。」と呼び掛け、三日三晩必死になって、村人と共に敵味方の区別なく傷ついた兵士を助ける活動をしたのです。

その後、アンリーデュナンは、この様子を『ソルフェリーノの思い出』という本に書き、たとえ戦争があっても傷ついた兵士を敵味方の区別なく助ける仕組みを作ろうと世界の人々に呼び掛けたのです。

そして誕生したのが赤十字です。

ソルフェリーノの丘には、いとすぎの木がたくさん繁っていました。

そのため、いとすぎは赤十字のシンボルと言われるようになりました。

イタリアの赤十字社は、アンリーデュナンの考えを広めようと、ソルフェリーノの丘のいとすぎからとった種を日本赤十字社に送りました。

日本赤十字社は、その種から苗を育て全国のいくつかの学校に送りました。

その時の苗で育ったのが愛媛県に1本だけあり、それが潮見小学校のいとすぎです。

粟井小学校に植樹したのは、潮見小学校のいとすぎの種から育てた苗というわけです。

植樹した時は、小さかったいとすぎも、現在は、大人の背丈を越えるほどになりました。

アンリーデュナンの「みんな同じ人間同士」「苦しいときにはみんなで助け合おう」という精神を粟井小学校でも受け継いでいきたいと思います。